2026/9/2
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【2026年最新】ミニマムタックスとは?不動産売却益も対象に
ミニマムタックス(極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置)は、令和8年度税制改正で強化され、令和9年分から特別控除1.65億円・税率30%に。譲渡益だけなら約3.3億円超で対象です。大型土地・一棟物件・取得費不明の相続不動産の売却時期をどう判断すべきか、横浜の不動産コンサルタントが解説します。
相続・税務 / 不動産売却 公開日・最終更新日:2026年9月2日(記事冒頭に明示してください)
ミニマムタックスとは?令和9年から不動産売却も対象になる「1.65億円の壁」
この記事の結論 ミニマムタックスとは、その年の所得が極めて高い人に対して、通常の所得税額が一定水準に届かない場合に差額を追加で納めてもらう制度です。令和8年度税制改正により、令和9年(2027年)分から特別控除額が3億3,000万円→1億6,500万円、税率が22.5%→30%に変わります。譲渡所得だけで判定する場合、対象ラインは約9.9億円超→約3.3億円超へと大きく下がります。
ミニマムタックスとは(1分でわかる定義)
ミニマムタックスの正式名称は「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置」(租税特別措置法41条の19)です。令和5年度税制改正で創設され、令和7年分の所得税から適用が始まりました。
背景にあるのは、いわゆる「1億円の壁」です。給与所得や事業所得は累進課税で所得税の最高税率が45%になる一方、株式等や長期保有の土地建物の譲渡益は所得税15%(住民税5%)の分離課税で完結します。そのため、所得が大きい層ほど所得に占める譲渡益の割合が高くなり、所得が増えるほど負担率が下がる逆転現象が起きていました。これを是正するための制度です。
令和8年度税制改正でどう変わったのか
令和7年・8年分 | 令和9年分以後(改正後) | |
|---|---|---|
特別控除額 | 3億3,000万円 | 1億6,500万円 |
税率 | 22.5% | 30% |
判定式 | (基準所得金額−3.3億円)×22.5%−基準所得税額 | (基準所得金額−1.65億円)×30%−基準所得税額 |
譲渡益のみの場合の目安 | 約9.9億円超 | 約3.3億円超 |
上記の計算結果がプラスになった場合、その差額を追加で申告・納付します。差額には別途、復興特別所得税(令和9年以降は防衛特別所得税を含む)が課されます。なお、個人住民税には同様の措置はありません。
「基準所得金額」に何が含まれるか
判定のベースとなる基準所得金額は、給与・事業・不動産所得だけではありません。土地建物の譲渡益、株式等の譲渡益、配当所得、退職所得など、ふだんは分離課税や申告不要で完結している所得も合算して計算します。源泉徴収ありの特定口座で申告不要とした利益も含める必要があります(NISA等の非課税分は除きます)。居住用3,000万円控除などの特別控除は、控除した後の金額で判定されます。
なぜ不動産オーナーに関係するのか
「所得30億円超の超富裕層の話」と紹介されることが多い制度ですが、それは給与・配当・株式譲渡益がバランスよくある前提の話です。その年に大きな譲渡益が一度だけ出る不動産オーナーは、事情が違います。
とくに注意が必要なのが、取得費が不明な相続不動産です。先代・先々代から受け継いだ土地は購入時の契約書が残っていないことが多く、その場合は概算取得費(売却代金の5%)で計算せざるを得ません。つまり、売却代金のほぼ全額が譲渡益になるということです。
試算例:相続した土地を4億円で売却(令和9年)
譲渡益:4億円−概算取得費2,000万円−譲渡費用約1,200万円 = 約3億6,800万円
通常の所得税:3億6,800万円×15% = 5,520万円
ミニマムタックス:(3億6,800万円−1億6,500万円)×30% = 6,090万円
追加納税:約570万円(別途、復興特別所得税等)
改正前のルールなら追加納税はゼロだったケースです。売却代金が4億円規模でも影響が出る、という点をご認識ください。
分岐は「令和8年内の引渡し」かどうか
令和8年(2026年)12月31日までに譲渡があったものは、従来どおり特別控除3.3億円・税率22.5%で判定されます。譲渡所得の収入計上時期は原則として引渡日(契約日基準を選択することも可能です)。
大型物件・事業用地の売買は、買主の資金調達、測量・境界確定、テナントや借地人との調整に時間がかかります。年内決済を目指すなら、遅くとも秋のうちに売買契約という逆算スケジュールが現実的です。
実務上のチェックポイント
その年に所得が重ならないかを先に確認する(自社株の譲渡、退職金、保険の解約返戻金なども合算対象)
遺産分割の設計段階から検討する。判定は相続人ごとに行われるため、共有・分筆・複数年での売却により結果が変わることがあります(ただし形式的な分散は否認リスクがあるため、必ず税理士と設計してください)
特別控除の特例を使い切る。居住用3,000万円控除、相続空き家3,000万円控除、収用等の5,000万円控除などは、控除後の金額で判定されるため有効です
申告時は国税庁の「適用判定表兼計算書」で確認する
よくあるご質問
Q1. 自宅を売っただけでも対象になりますか? A. 通常は対象になりません。居住用3,000万円控除を適用した後の譲渡益が1億6,500万円を大きく超え、かつ他の所得と合算して基準に達する場合に限られます。
Q2. 住民税も増えますか? A. いいえ。ミニマムタックスは所得税(および復興特別所得税等)のみの制度で、個人住民税には同様の措置はありません。
Q3. 令和9年以降に売るしかない場合、打つ手はありますか? A. 売却物件を分けて複数年に分散する、共有者ごとに売却する、買換え特例や特別控除を組み合わせる、といった選択肢があります。物件の性質と相続の状況によって最適解は変わりますので、売買契約を結ぶ前のご相談をおすすめします。
ご相談は HY Consulting へ
HY Consulting は、横浜・川崎を中心に神奈川・東京エリアで、相続不動産・空き家・訳あり物件の売却と活用をワンストップでサポートしています。税理士・司法書士・弁護士とのネットワークにより、売却スキームと税務シミュレーションを同時に検討できる体制を整えています。
大型の土地、一棟収益物件、底地・借地、取得費不明の相続不動産の売却をご検討中の方は、時期の判断が税額を左右します。まずはお気軽にご相談ください。
執筆者:田澤英大(HY Consulting 代表/CFP®・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター・国土交通大臣認定講習講師)
本記事は2026年9月2日時点の法令等に基づく一般的な情報です。個別の税務判断は必ず税理士にご確認ください。 参考:国土交通省・国税庁公表資料、令和8年度税制改正関係
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