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不動産の引取りを事業者に依頼する前に確かめたい5つの点|登記・費用・契約書面の確かめ方

    2026/7/3

    • 0円物件・負動産の処分活用支援

    不動産の引取りを事業者に依頼する前に確かめたい5つの点|登記・費用・契約書面の確かめ方

    この記事の要点

    • 国民生活センターは2018年1月25日の発表で、原野や山林の買い取りを持ちかけ、手続き費用などの名目で金銭を請求する「原野商法の二次被害」への注意を呼びかけています。国土交通省も、審議会の資料で不動産の「引取サービス」を取り上げ、利用する際の留意点を挙げています。

    • 引取りを依頼する前に、所有権移転登記の時期、費用の内訳と総額、契約書面、事業者の実在、断ったあとの勧誘の5点を、ご自身で書面を使って確かめられます。

    • 公的な選択肢として、相続等で取得した土地は法務省の相続土地国庫帰属制度を検討できます。制度の利用は法務局で、取引のトラブルは消費者ホットライン188で相談できます。

    不動産の引取りサービスについて、公的機関はどんな資料を出していますか?

    この記事で紹介する国民生活センターの注意喚起は、有料の引取りサービスという類型そのものを評価したものではなく、土地の売却や買い取りを持ちかけて金銭を請求する手口へのものです。一方、国土交通省は、社会資本整備審議会 不動産部会(2025年2月14日、2026年2月26日)の資料で、不動産の「引取サービス」そのものを取り上げています。資料は、所有権移転と金銭授受が円滑に行われる限りは特段の問題はないとしたうえで、宅建業法等による規制が及ばない場合も多いと想定されるとして、取引の安全性、適正価格での取引機会、引取後の適正な管理の3点を、注視していく課題に挙げています(国土交通省 第42回不動産部会 資料2「不動産取引に係る新たなサービス形態について」)。

    国民生活センターの2018年1月25日公表の発表情報は、過去に原野商法の被害に遭った人や、その原野を相続した人が再びトラブルに遭う事例を取り上げています。「あなたの持っている土地を高値で買い取る」といった電話勧誘をきっかけに、「手続き費用」「税金対策」といった名目で金銭を請求し、実際には新たな土地の購入契約をさせる手口が目立ち始めている、という内容です(国民生活センター「より深刻に!「原野商法の二次被害」トラブル」)。

    2023年7月25日公表の見守り新鮮情報は、土地を売るためと言って、測量費や広告費、手数料など様々な名目で金銭を支払わせる手口の相談が寄せられているとしています。媒介手数料を先払いしたあと連絡が取れなくなった、80歳代の事例も紹介されています(国民生活センター 見守り新鮮情報 第457号)。国土交通省も、国民生活センターの注意喚起を「原野商法の二次被害トラブルにご注意ください!」で掲載しています。

    この記事で紹介する国民生活センターの資料と国土交通省のこのページは、原野商法の二次被害など、土地の売却・買い取りに関するものです。不動産の引取りを行う事業者全般について述べたものではありません。引取りサービスを直接取り上げているのは、先に挙げた不動産部会の資料です。当社も、不動産の買取・引取りを取り扱う事業者です。そのため、特定の事業者やサービスの評価はせず、どの事業者に依頼する場合でも、ご自身で確かめられる点を整理します。

    契約の前に、何を確かめればよいですか?

    次の5点です。どれも、契約書や登記簿などの書面で確かめられます。

    所有権移転登記は、いつ、誰が申請しますか?

    登記簿上の所有者が変わらなければ、固定資産税の納税義務者も、原則として変わりません。固定資産税は、土地については、登記簿(登記の無い土地は土地補充課税台帳)に所有者として登記・登録されている者に課されます(地方税法第343条第1項・第2項)。賦課期日は1月1日です(同法第359条)。

    契約書で、登記を申請する時期、司法書士に依頼するかどうか、登記にかかる費用の負担者、費用を支払う時期との前後を確かめます。引取りの後は、登記事項証明書で名義が移っているかを確かめられます。登記事項証明書は、手数料を納付すれば、何人も請求できます(不動産登記法第119条第1項)。

    費用の内訳と総額は、書面に示されていますか?

    契約の前に、名目ごとの内訳と総額を書面で確かめます。原野商法の二次被害に関する国民生活センターの2018年の発表は、「手続き費用」「税金対策」などさまざまな名目での請求や、覚えのない管理費など根拠が不明な請求の例を挙げ、「根拠がはっきりしない請求には、お金を支払わず」毅然と対応するよう助言しています。各費用が何の対価か、追加の請求があり得るか、成立しなかった場合に返金されるか、売却と同時に別の土地を買う契約になっていないかも確認します。

    契約書面は、取引の実態と合っていますか?

    契約の種類、当事者、金額、解約の条件が書かれているかを確かめます。原野商法の二次被害に関する2018年の発表は、交付された書面が宅地取引と誤認させている例や、クーリング・オフはできないと誤認させる記載がある例を、問題点として挙げています。

    クーリング・オフができるかどうかは、契約の種類や勧誘のされ方、相手の事業者によって変わります。自宅を不動産業者に売却した場合はできないと、国民生活センターは2021年6月24日の公表で注意喚起しています(国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」)。一方、原野商法の二次被害に関する2018年の発表は、クーリング・オフはできないと誤認させる書面を問題点に挙げています。書面の記載だけで判断せず、契約の前でも後でも、早めに消費生活センター等で確認してください。

    事業者は実在し、連絡が取れますか?

    事業者名、所在地、電話番号、代表者名を書面で確かめ、契約の前に連絡がつくかを試します。原野商法の二次被害に関する2018年の発表は、通知をしても対応されず、業者と連絡がつかなくなる事例を問題点に挙げています。宅地建物取引業者の免許行政庁などは、国土交通省が案内する検索ページで確認できます。ただし国民生活センターは、原野商法の二次被害に関する2018年の発表で、「宅地建物取引業の免許を持っていても、安易に信用しないようにしましょう」と助言しています。

    断ったあと、勧誘は続きませんか?

    国民生活センターは、自宅の売却トラブルについての2021年6月24日の発表で、「勧誘が迷惑だと思ったらきっぱりと断り、今後勧誘しないように伝えましょう」と助言しています。原野商法の二次被害についての見守り新鮮情報(2023年7月25日)も、少しでも不審に感じたらきっぱり断ること、契約する前に家族や周りの人に相談することを勧めています。引取りの勧誘を受けたときにも使える対応です。急かされたときは、その場で決めず、契約する前に家族や周りの方に相談します。

    宅地建物取引業の免許は、いつも必要ですか?

    取引の内容によるため、一概には言えません。宅地建物取引業とは、宅地・建物の売買や交換、またはその売買・交換・貸借の代理や媒介を、業として行うものです(宅地建物取引業法第2条第2号)。これを営もうとする者は、免許を受けなければなりません(同法第3条第1項)。

    引取りがこれに当たるかは、個別の取引ごとの判断になります。国土交通省の不動産部会の資料(2026年2月26日)には、事業者による不動産の引取りに係る取引は、原則として宅建業法上の宅地建物取引には該当せず、宅建業法上の規制は適用されないと考えられる、という整理が載っています(国土交通省 第43回不動産部会 資料「最近の不動産政策に関する取組について」)。同部会の2025年2月14日の資料は、利用する際の留意点として考えられる事項に、金銭を支払う前に所有権移転登記が行われたことの確認、費用や条件など契約書の内容の確認、宅建業者等への相談など売却を含む取引形態の比較、事業者による引取後の土地の管理方針を挙げています。

    国土交通省は、原野商法の二次被害に関する注意喚起のページで、建物の敷地に供する目的で取引の対象とされた土地は地目や現況を問わず宅地にあたると説明し、疑義がある場合は免許行政庁への相談を案内しています。検索の方法は、同じページに載っています。

    公的な選択肢には、どのようなものがありますか?

    相続や相続人への遺贈で土地を取得した場合は、法務大臣の承認を受けて土地を国に帰属させる、相続土地国庫帰属制度があります。建物がある土地や、担保権・使用収益権が設定されている土地などは申請できません。審査の手数料と、承認後の負担金の納付が必要です(法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」)。要件は相続土地国庫帰属制度の記事で解説しています。

    空き家とその敷地については、市町村が、適切な管理を促進するため、所有者等に情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとされています(空家等対策の推進に関する特別措置法第12条)。トラブルのときは、消費者ホットライン188で、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。

    何から始めればいいですか?

    まず、依頼を検討している事業者の書面を手元に集めるところからです。次の順に進めてください。

    1. 登記事項証明書で、不動産の名義を確認します。

    2. 事業者から、契約書案と費用の内訳書を書面でもらいます。

    3. 登記の時期、費用の総額と支払い時期、解約の条件、返金の条件を確認します。

    4. 事業者の所在地と連絡先を確認し、免許行政庁の検索で免許の状況を確かめます。

    5. 国庫帰属制度など公的な選択肢と比べ、家族に相談してから決めます。

    当社でも、引取りを含む不動産の処分方法のご相談を承ります。当社にご依頼いただく場合も、同じ5点を書面でお確かめください。登記の申請は司法書士、法的な判断は弁護士の領域のため、必要な場合は専門家をご案内します。お問い合わせはこちらからどうぞ。

    よくあるご質問

    Q. 公的機関は、不動産の引取りサービスをどう見ていますか?

    A. 国土交通省の審議会の資料は、所有権移転と金銭授受が円滑に行われる限りは特段の問題はないとしたうえで、取引の安全性などを注視する課題に挙げています。この記事で紹介する国民生活センターの資料は、原野商法の二次被害など特定の手口への注意喚起です。当社を含め、どの事業者でも、上の5点を書面で確かめてください。

    Q. 費用を払ったあとに連絡が取れなくなったら、どうすればよいですか?

    A. 消費者ホットライン188で、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえます。登記や法的な対応が必要な場合は、司法書士や弁護士にご相談ください。

    Q. 宅地建物取引業の免許があれば、安心ですか?

    A. 免許は確認材料の一つですが、それだけでは判断できません。国民生活センターは、原野商法の二次被害に関する注意喚起の中で、免許を持っていても安易に信用しないよう助言しています。

    Q. 株式会社HYへの相談は有料ですか?

    A. 初回のご相談は無料です。現状の整理と方向性のご案内までを行い、実務が必要な場合は、事前にお見積りをご提示し、ご同意後に進めます。法律・税務・登記の個別のご判断は、各専門家へのご相談となります。

    ※本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は弁護士・司法書士・行政書士・税理士等の専門家にご相談ください。制度は改正されることがあります。記載内容は2026年10月時点のものです。

    監修(不動産実務の観点):株式会社HY(横浜駅前の相続・空き家・事故物件・終活の不動産相談窓口)

    代表取締役 田澤 英大(宅地建物取引士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®/公認不動産コンサルティングマスター)

    ※法律・税務・登記の個別の判断は、監修の範囲に含みません。

    宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第033168号

    横浜市西区北幸1-11-5 相鉄KSビル9階

    https://hyconsulting2021.jp/

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