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相続土地国庫帰属制度とは?申請できる人・使えない土地・費用と流れを解説

    2026/9/19

    • 0円物件・負動産の処分活用支援

    • 相続対策

    相続土地国庫帰属制度とは?申請できる人・使えない土地・費用と流れを解説

    この記事の要点

    • 相続土地国庫帰属制度は、相続等で取得した土地を、要件を満たして法務大臣の承認を受ければ国に引き渡せる制度です。審査手数料は土地1筆につき14,000円で、取り下げた場合や却下・不承認の場合も返還されません。

    • 建物がある土地、担保権が付いた土地、境界が明らかでない土地などは申請できません。申請できても、管理の妨げになる物が地上にある土地などは承認されません。

    • 承認されると、10年分の標準的な管理費用を考慮した負担金を、通知を受けた日から30日以内に納めます。法務省の統計では、2026年8月31日現在の帰属は3,119件です。

    相続土地国庫帰属制度とは、どのような制度ですか?

    相続などで取得した土地を、一定の要件を満たせば国に引き渡せる制度です。根拠は「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(以下、国庫帰属法)で、2023年4月27日に始まりました(法務省「相続土地国庫帰属制度について」)。

    法務大臣の承認を受けて負担金を納めた時点で、土地の所有権が国に移ります(国庫帰属法第11条第1項)。目的は、所有者不明土地の発生を抑えることです(同法第1条)。申請先は、土地がある都道府県の法務局または地方法務局の本局です(法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」)。

    誰が申請できますか?

    相続、または相続人に対する遺贈で土地の所有権を取得した方です(国庫帰属法第2条第1項)。売買など相続以外の原因で自分で取得した土地は、基本的に対象になりません。2023年4月27日より前に相続した土地も対象です(法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」)。

    土地が共有の場合は、共有者の全員がそろって申請します(同法第2条第2項)。共有者の誰かの同意が得られない場合、その土地では申請できません(法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」)。

    申請の手続ができるのは、土地の所有者ご本人か法定代理人に限られます。申請書類の作成を業務として代行できるのは、弁護士・司法書士・行政書士に限られます(法務省「相続土地国庫帰属制度における専門家の活用等について」)。

    申請できない土地と、承認されない土地には、どんなものがありますか?

    法律は二段階に分けています。申請の時点で却下される土地(却下事由)と、審査の結果で承認されない土地(不承認事由)です。いずれも、通常の管理や処分に過分の費用や労力がかかる土地として整理されています(法務省「相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件」)。

    申請できない土地(却下事由)

    次の土地は、申請ができません(国庫帰属法第2条第3項、同法施行令第2条)。

    • 建物がある土地

    • 担保権や、使用・収益を目的とする権利が設定されている土地

    • 現に通路として使われている土地、墓地内の土地、境内地、現に水道用地・用悪水路・ため池として使われている土地

    • 基準を超える特定有害物質で汚染されている土地

    • 境界が明らかでない土地や、所有権の存否・範囲に争いがある土地

    承認されない土地(不承認事由)

    申請できる土地でも、次のような土地は承認されません(国庫帰属法第5条第1項、同法施行令第4条)。

    • 勾配30度以上かつ高さ5メートル以上の崖があり、通常の管理に過分の費用や労力がかかる土地

    • 管理や処分の妨げになる工作物・車両・樹木などが地上にある土地

    • 除去しなければ管理や処分ができない物が地下にある土地

    • 隣接地の所有者などとの争いによらなければ管理や処分ができない土地

    • 災害のおそれがあり現状を変える措置が必要な土地など、通常の管理や処分に過分の費用や労力がかかる土地

    2026年8月31日現在の法務省の統計(速報値)では、不承認100件のうち、地上の工作物・車両・樹木などに当たるものが46件で最も多くなっています。1つの事案で複数の理由に当たることがあります(法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」)。

    建物が建っている土地は、どうなりますか?

    「建物の存する土地」は、申請ができません(国庫帰属法第2条第3項第1号)。建物の登記がなくても、現に建物があれば申請できず、山の一部に建物がある場合も却下されます。建物がある土地を申請するには、先に建物を取り壊す必要があります(法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」)。ただし、取り壊しても承認されるとは限りません。取り壊す前に、ほかの却下事由・不承認事由に当たらないかを法務局の相談で確かめてください。

    物置小屋のようなものは建物に当たらない場合があり、その場合は地上の工作物として、管理に過分の費用や労力がかかるかどうかで判断されます。建物の滅失登記は、所有者の方で行うのが原則です(同Q&A)。

    住宅用地の特例は、居住用の家屋の敷地として使われている土地が対象です(地方税法第349条の3の2第1項)。取り壊す前に、固定資産税がどう変わるかを市区町村の資産税担当にご確認ください。詳しくは空き家を解体して更地にすると固定資産税はどうなるかの記事で解説します。

    費用はいくらかかりますか?

    申請のときの審査手数料と、承認された後の負担金の2つです。

    • 審査手数料は、土地1筆につき14,000円です(国庫帰属法施行令第3条)。申請を取り下げた場合や、却下・不承認になった場合も返還されません(法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」)。

    • 負担金は、国有地の種目ごとに、管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して算定します(国庫帰属法第10条第1項)。面積に応じて算定する区分(市街化区域内などの宅地、市街化区域内・農用地区域内などの農地、主に森林として使われている土地)と、20万円とされる区分(それ以外の土地)があります(同法施行令第5条第1項)。

    たとえば市街化区域内の宅地で地積が100平方メートルの場合、条文の算式(地積×2,720円+27万6,000円)で54万8,000円になります。実際の額は、承認の通知と併せて法務局が通知します(国庫帰属法第10条第2項)。

    負担金を通知を受けた日から30日以内に納めないと、承認は効力を失います(同条第3項)。その場合も手数料は返還されず、国への分割納付もできません(法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」)。

    申請から国に帰属するまで、どのくらいかかりますか?

    審査の標準処理期間は8か月とされていますが、事案によっては超えることがあります(法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」)。

    申請後は、法務局の職員が書面を審査し、必要に応じて現地を調べます(国庫帰属法第6条)。現地調査への同行を求められたときに、正当な理由なく断ると申請は却下されます。負担金を納めて国に帰属するまでは土地の所有者は申請者のままなので、草刈りなどの管理も申請者が行います(同Q&A)。

    何から始めればいいですか?

    最初に、その土地が申請できる土地かどうかを確かめます。

    1. 登記事項証明書と固定資産税の納税通知書で、土地の場所と名義を確認する

    2. 建物、担保権、共有者、境界の状況を確認する

    3. 土地がある都道府県の法務局(本局)に、事前に予約して相談する(土地が遠方の場合は、お近くの法務局の本局でも相談できます)

    4. 申請書と添付書類をそろえて、法務局に申請する

    5. 承認の通知を受けたら、30日以内に負担金を納める

    当社は、国庫帰属の申請書類の作成や申請の代行は行っていません。法務局の相談で申請が難しいと分かった土地や、申請以外の方法も比べたい土地について、売る、譲る、当面管理するといった選択肢を整理するご相談を承ります。法律・登記・税務や、官公署への届出・申請は、弁護士・司法書士・行政書士・税理士などの各専門家が行う手続です。必要に応じて、連携する専門家をご案内します。まずはお問い合わせください。農地や山林の場合は農地・山林を相続したときの届出と手放し方の記事もご覧ください。

    よくあるご質問

    Q. 農地や山林でも申請できますか?

    A. 農地も森林も申請できます。ただし、ほかの土地と同じ要件で審査され、承認されないこともあります。農地については、農業委員会に事前に相談することもできます(法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」)。

    Q. 相続登記が済んでいなくても申請できますか?

    A. 相続登記が未了でも、相続などで取得した土地であれば申請できますが、所有者であることを証する書面が必要です。取り下げた場合や、却下・不承認となった場合は、引き続きご自身が所有者なので相続登記が必要です(同Q&A)。登記の期限は相続した空き家、いつまでに何をすればいいですか?の記事をご覧ください。

    Q. 不承認になった場合、不服を申し立てられますか?

    A. 審査請求ができます。期限は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です(同Q&A)。審査請求をするかどうかは、弁護士などの専門家にご相談ください。

    Q. 株式会社HYへの相談は有料ですか?

    A. 初回のご相談は無料です。現状の整理と方向性のご案内までを行い、実務が必要な場合は、事前にお見積りをご提示し、ご同意後に進めます。法律・税務・登記の個別のご判断は、各専門家へのご相談となります。

    ※本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は弁護士・司法書士・行政書士・税理士等の専門家にご相談ください。制度は改正されることがあります。記載内容は2026年10月時点のものです。

    監修(不動産実務の観点):株式会社HY(横浜駅前の相続・空き家・事故物件・終活の不動産相談窓口)

    代表取締役 田澤 英大(宅地建物取引士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®/公認不動産コンサルティングマスター)

    ※法律・税務・登記の個別の判断は、監修の範囲に含みません。

    宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第033168号

    横浜市西区北幸1-11-5 相鉄KSビル9階

    https://hyconsulting2021.jp/

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