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相続対策
農地・山林を相続したら届出が必要?期限・過料と手放し方を解説
この記事の要点
農地を相続したときは、農地法第3条の3により農業委員会への届出が必要です。農林水産省は相続発生日からおおむね10か月以内と案内しており(農業委員会向けの処理基準では、権利を取得したことを知った時点からおおむね10か月以内)、届出をしないと10万円以下の過料の対象です。
地域森林計画の対象となっている民有林を相続したときは、所有者となった日から90日以内に市町村長への届出が必要です(森林法第10条の7の2、同法施行規則第7条第1項)。
農地を売る・貸すには原則として農業委員会の許可が必要です(農地法第3条)。手放す方法として、要件を満たせば、農地も森林も相続土地国庫帰属制度に申請できます。
農地を相続したとき、届出は必要ですか?
必要です。農地法第3条の3は、農地について権利を取得した者に、遅滞なく農業委員会へ届け出ることを求めています。農林水産省は、相続、遺産分割、包括遺贈などで農地の権利を取得した方が対象で、届出先は農地がある市町村の農業委員会、期限は相続発生日からおおむね10か月以内と案内しています(農林水産省「相続時の届出チラシ」、農地相続ポータル掲載)。農業委員会向けの処理基準では、権利を取得したことを知った時点からおおむね10か月以内とされています(農林水産省「農地法関係事務に係る処理基準について」)。
届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりした場合は、10万円以下の過料に処せられます(農地法第69条)。条文は期限を「遅滞なく」と定めるだけなので、10か月の目安は農林水産省の案内で確認してください。
届出書には、権利を取得した方の氏名・住所、農地の所在・地番・面積、権利を取得した事由と日、取得した権利の種類・内容、所有権を取得した場合はその方の国籍等を書きます(農地法施行規則第19条)。農業委員会では、地元を離れて管理ができない方の相談や、借り手探しのお手伝いもしています(農林水産省「相続時の届出チラシ」、農地相続ポータル掲載)。
山林(森林)を相続したときの届出は必要ですか?
地域森林計画の対象となっている民有林を新たに取得したときは、必要です。市町村長に、所有者となった日から90日以内に届出書を出します(森林法第10条の7の2第1項、森林法施行規則第7条第1項)。
相続の場合、「所有者となった日」は相続開始の日などとされています(林野庁「森林の土地の所有者となった旨の届出制度の運用について」)。遺産分割が済んでいなくても、相続開始の日から90日以内に、法定相続人の共有として届出が必要です(林野庁「森林の土地の所有者届出制度の概要」)。
面積の基準はなく、小さな土地でも対象です。登記上の地目が山林でなくても、実際に森林の状態なら対象になる可能性が高いとされています。対象の森林かどうかは、都道府県か市町村の林務担当部局に確認できます。届出をしない、または虚偽の届出をした場合は、10万円以下の過料です(森林法第213条)。2026年4月から、届出書に所有者の国籍等を書く欄が加わりました(林野庁)。
この届出で土地の所有権が確定するわけではなく、不動産登記とは別の制度です(林野庁)。
農地や山林の届出と、相続登記は別の手続ですか?
別の手続です。農地の届出も森林の届出も、法務局での相続登記とは別に必要です(農林水産省、林野庁)。
相続登記は、相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請する義務があります(不動産登記法第76条の2第1項)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(同法第164条第1項)。2024年4月1日より前に相続を知った不動産で、登記が済んでいないものは、2027年3月31日までに登記する必要があります(法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」)。
相続登記の申請の代理を業務として行えるのは、司法書士と弁護士に限られます(法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」)。名義変更の進め方は横浜の相続不動産、名義変更の相談は司法書士への記事をご覧ください。
農地を売ったり貸したりするには、何が必要ですか?
原則として、農業委員会の許可が必要です(農地法第3条第1項)。許可を受けないでした行為は、その効力を生じません(同条第6項)。農地を農地以外のものにするために売買などをする場合は、都道府県知事等の許可が必要です(農地法第5条第1項)。いずれも例外があるため、個別の取引は農業委員会にご確認ください。
貸す方法としては、農地中間管理機構(農地バンク)に貸し付ける方法もあります(農林水産省「農地相続ポータル」)。
農地や山林を手放す方法はありますか?
売却や賃貸のほか、相続土地国庫帰属制度に申請する方法があります。法務省のQ&Aは、農地も森林も申請できるとしています。農地については、農業委員会に事前に相談することもできます(法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」)。
ただし、建物がある土地、担保権などが設定されている土地、境界が明らかでない土地などは申請できません。森林経営管理法の経営管理権が設定されている森林は、事前に解除しておく必要があります(同Q&A)。農林水産省は、農地の例として、農地バンクの中間管理権が設定されている場合を挙げています(農林水産省「農地相続ポータル」)。
審査手数料は土地1筆につき14,000円です。承認後の負担金は、森林は面積に応じて算定し、農地は市街化区域内・農用地区域内などでは面積に応じて、それ以外は20万円です(相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令第3条、第5条第1項)。2026年8月31日現在、国庫に帰属した3,119件のうち、農用地は989件、森林は203件です(法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」、速報値)。制度の全体像は相続土地国庫帰属制度の記事をご覧ください。
何から始めればいいですか?
最初に、相続を知った日と、土地の所在・地番を確かめます。農地は遅滞なく(農林水産省の案内ではおおむね10か月以内)、森林は所有者となった日から90日以内、登記は取得を知った日から3年以内と、期限と数え始めの日が異なるためです。
登記事項証明書と固定資産税の納税通知書で、農地・山林の所在、地番、名義を確認する
相続を知った日と、相続開始の日(亡くなった日)を書き留める
農地は農業委員会へ、森林は市町村の林務担当へ、届出の要否と方法を確認する
相続登記を司法書士に相談する
手放したい場合は、売却、賃貸、国庫帰属などの選択肢を比べる
当社は、山林・田畑、別荘地などについて、売る、貸す、手放すといった選択肢のご相談も承っています。農業委員会や市町村への届出書、許可申請書、登記申請書の作成や提出の代行は行っていません。法律・登記・税務や、官公署への届出・申請は、弁護士・司法書士・行政書士・税理士などの各専門家が行う手続です。必要に応じて、連携する専門家をご案内します。まずはお問い合わせください。期限の全体像は相続した空き家、いつまでに何をすればいいですか?の記事で解説します。
よくあるご質問
Q. 農地と森林の両方を相続しました。届出は別々ですか?
A. 別々です。農地は農地法第3条の3により農業委員会へ、森林は森林法第10条の7の2により市町村長へ届け出ます。
Q. 遺産分割がまだ決まっていない場合、届出はどうなりますか?
A. 森林は、遺産分割が済んでいなくても、相続開始の日から90日以内に法定相続人の共有として届出が必要です(林野庁)。農地については、農業委員会にご確認ください。
Q. 期限を過ぎてしまった場合は、どうすればよいですか?
A. 気づいた時点で、農地は農業委員会、森林は市町村の窓口に、状況を伝えて対応を確認してください。届出をしない場合は10万円以下の過料の対象になります(農地法第69条、森林法第213条)。
Q. 株式会社HYへの相談は有料ですか?
A. 初回のご相談は無料です。現状の整理と方向性のご案内までを行い、実務が必要な場合は、事前にお見積りをご提示し、ご同意後に進めます。法律・税務・登記の個別のご判断は、各専門家へのご相談となります。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は弁護士・司法書士・行政書士・税理士等の専門家にご相談ください。制度は改正されることがあります。記載内容は2026年10月時点のものです。
監修(不動産実務の観点):株式会社HY(横浜駅前の相続・空き家・事故物件・終活の不動産相談窓口)
代表取締役 田澤 英大(宅地建物取引士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®/公認不動産コンサルティングマスター)
※法律・税務・登記の個別の判断は、監修の範囲に含みません。
宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第033168号
横浜市西区北幸1-11-5 相鉄KSビル9階
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