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空き家を放置して他人に被害が出たら?民法717条などの責任と備えを解説

    2026/2/3

    • 0円物件・負動産の処分活用支援

    空き家を放置して他人に被害が出たら?民法717条などの責任と備えを解説

    この記事の要点

    • 民法第717条第1項は、土地の工作物の欠陥で他人に損害が生じたとき、まず占有者が賠償責任を負い、占有者が必要な注意をしたときは所有者が賠償すると定めています。

    • 空家等対策の推進に関する特別措置法は、所有者等に管理の努力義務を課します。管理不全空家等は指導・勧告、特定空家等は助言・指導・勧告・命令・代執行の対象になり得ます。命令に違反した場合の過料の定めもあります。

    • 備えは、定期的な点検、保険の補償範囲の確認、管理の委託、売却や譲渡の検討です。賠償額は個別の事情で変わるため、目安は示せません。被害が出たときは弁護士にご相談ください。

    空き家が原因で他人に損害を与えたら、誰が責任を負いますか?

    条文は、責任を負う順序を二段に定めています。まず占有者、占有者が必要な注意をしたときは所有者です(民法第717条第1項)。

    条文には、「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う」とあります。ただし、「占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない」とされています。瑕疵(かし)とは、欠陥のことです。

    政府広報オンラインは、屋根や外壁の落下などで通行人や近隣の家屋に損害を与えてしまうと、損害賠償責任を問われる可能性があると説明しています(政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」)。

    空き家の建物や塀などが土地の工作物にあたるか、欠陥と評価されるか、占有者と所有者のどちらが責任を負うかは、個別の事情で判断されます。竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合にも、同じ規定が準用されます(同条第2項)。損害の原因について他に責任を負う者がいるときは、その者に求償権を行使できます(同条第3項)。具体的な判断は、弁護士にご相談ください。

    庭木の枝が隣地にはみ出すと、どうなりますか?

    隣地の所有者から、枝の切除を求められる場合があります。2023年4月1日施行の民法改正で、隣地の所有者が自分で枝を切り取れる場合も定められました。

    土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができます(第233条第1項)。そのうえで、次の場合は、土地の所有者がその枝を切り取ることができます(同条第3項)。

    • 竹木の所有者に切除するよう催告したのに、相当の期間内に切除しないとき

    • 竹木の所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができないとき

    • 急迫の事情があるとき

    根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができます(同条第4項)。越境のおそれがある庭木は、早めに手入れをしておくことが大切です。

    放置すると、行政からどのような措置を受けますか?

    市町村長による、段階的な措置の対象になる場合があります。空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空家法)は、所有者等に「空家等の適切な管理に努める」ことを求めています(第5条)。努力義務ですが、状態が悪化すると、次の措置の対象になる場合があります。

    管理不全空家等:指導と勧告

    適切な管理が行われていないために、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある空家等です。市町村長は、所有者等に必要な措置をとるよう指導でき、なお状態が改善されず、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれが大きいと認めるときは、修繕や立木竹の伐採などの具体的な措置を勧告できます(第13条第1項・第2項)。

    特定空家等:助言・指導、勧告、命令、代執行

    倒壊の危険や衛生上の有害、景観の著しい悪化など、周辺の生活環境の保全のために放置することが不適切な状態にあると認められる空家等です(第2条第2項)。市町村長は、助言または指導(第22条第1項)、勧告(同条第2項)、命令(同条第3項)の順に措置できます。命令は、勧告を受けた者が正当な理由なくその措置をとらなかった場合に、特に必要があると認めるときに限られます。命令に違反した者は、50万円以下の過料に処されます(第30条第1項)。

    命じられた措置を履行しないときなどは、市町村長が自ら、または第三者に行わせる代執行ができます(第22条第9項)。その費用は、行政代執行法の定めにより義務者から徴収できます(同法第2条)。命令の相手を過失なく確知できない場合や、緊急の場合の規定もあります(空家法第22条第10項・第11項)。

    固定資産税への影響

    管理不全空家等または特定空家等で勧告を受けると、その敷地は、固定資産税の住宅用地の特例の対象から除かれます(地方税法第349条の3の2第1項)。勧告に沿って措置をとった後の扱いや、どの年度から変わるかは、市町村の税務担当にご確認ください。詳しくは空き家を解体して更地にすると固定資産税はどうなるかの記事をご覧ください。

    管理不全土地・建物管理命令とは何ですか?

    所有者の管理が不適当で他人の権利などが侵害されるおそれがあるとき、裁判所が選んだ管理人に管理させる制度です。土地は民法第264条の9、建物は第264条の14に定めがあり、2023年4月1日施行の改正で設けられました。

    裁判所は、「所有者による土地の管理が不適当であることによって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合」に、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、管理人による管理を命ずる処分をすることができます(第264条の9第1項)。

    管理人は管理と処分の権限を持ちますが(第264条の10第1項)、保存行為などを超える行為には裁判所の許可が必要です(同条第2項)。土地の処分の許可には、所有者の同意も必要です(同条第3項)。建物についても同じです(第264条の14第4項で準用)。管理人の費用と報酬は、所有者の負担とされています(土地は第264条の13第2項、建物は第264条の14第4項で準用)。市町村長も、管理不全空家等または特定空家等について、適切な管理のため特に必要があると認めるときは、地方裁判所にこの命令を請求できます(空家法第14条第3項)。

    空き家の備えとして、何をしておけばよいですか?

    一般的な備えは次のとおりです。必要な対応は、空き家の状態によって異なります。

    • 定期的な点検:屋根、外壁、塀、庭木などに、落下や倒壊、越境のおそれがないかを見ます。日付入りの写真で記録を残しておきます。点検や記録は事故を防ぎ、状況を説明できるようにするための備えで、賠償責任を負わないことを保証するものではありません。

    • 保険の確認:火災保険や賠償責任保険が、空き家でどこまで補償されるか、他人への賠償が対象かは、契約によって異なります。加入先に補償範囲を確認してください。

    • 管理の委託:見回りや報告書の作成をしてくれる管理代行サービスがあります(政府広報オンライン)。

    • 売却や譲渡の検討:将来使う予定のない空き家は、早めに「売る」「貸す」「解体する」などの方針を決めるよう、政府広報オンラインが呼びかけています。

    何から始めればいいですか?

    まず、今の状態を記録するところからです。次の順に進めてください。

    1. 現地で、屋根、外壁、塀、庭木などの危険な箇所を確認し、写真に残します。

    2. 登記事項証明書で、所有者を確認します(不動産登記法第119条第1項)。

    3. 加入している保険の証券を確認し、補償範囲を加入先に問い合わせます。

    4. 市町村の空き家担当に、管理不全空家等などに当たるおそれがあるか、補助制度があるかを相談します。市町村は、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとされています(空家法第12条)。

    5. 管理を続けるか、売却・譲渡・解体するか、方針を決めます。

    当社は宅地建物取引業者として、売却や譲渡のご相談を承ります。損害賠償責任の判断や相手方との交渉は弁護士、登記は司法書士の領域のため、必要な場合は専門家をご案内します。お問い合わせはこちらからどうぞ。

    よくあるご質問

    Q. 損害賠償の金額は、どれくらいになりますか?

    A. 個別の事情によって異なるため、目安はお示しできません。被害が出たときは、弁護士にご相談ください。

    Q. 相続放棄をすれば、空き家の管理の責任はなくなりますか?

    A. 相続の放棄をした者は、放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人または相続財産の清算人に引き渡すまでの間、その財産を保存しなければならないとされています(民法第940条第1項)。詳しくは相続放棄をしても空き家の管理の責任は残るのかの記事をご覧ください。

    Q. 火災保険に入っていれば、安心ですか?

    A. 補償の範囲は契約によって異なります。空き家の扱いや、他人への賠償が対象かどうかを、加入先に確認してください。

    Q. 株式会社HYへの相談は有料ですか?

    A. 初回のご相談は無料です。現状の整理と方向性のご案内までを行い、実務が必要な場合は、事前にお見積りをご提示し、ご同意後に進めます。法律・税務・登記の個別のご判断は、各専門家へのご相談となります。

    ※本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は弁護士・司法書士・行政書士・税理士等の専門家にご相談ください。制度は改正されることがあります。記載内容は2026年10月時点のものです。

    監修(不動産実務の観点):株式会社HY(横浜駅前の相続・空き家・事故物件・終活の不動産相談窓口)

    代表取締役 田澤 英大(宅地建物取引士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®/公認不動産コンサルティングマスター)

    ※法律・税務・登記の個別の判断は、監修の範囲に含みません。

    宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第033168号

    横浜市西区北幸1-11-5 相鉄KSビル9階

    https://hyconsulting2021.jp/

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