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価格の低い空き家の仲介手数料の特例とは?800万円以下の上限と条件
この記事の要点
売買代金が800万円以下(消費税等相当額を除く)の宅地・建物の売買・交換の媒介では、媒介に要する費用を勘案して、通常の上限を超える報酬を受けられる場合があり、その上限は30万円の1.1倍(33万円)です(昭和45年建設省告示第1552号 第七)。
2024年(令和6年)7月1日施行の改正で、対象が400万円以下から800万円以下に広がり、受け取る相手も売主側に限られなくなりました(国土交通省告示第949号、新旧対照表)。
通常の上限を超えて報酬を受けるには、媒介契約の締結に際してあらかじめ、上限の範囲内で報酬額を依頼者に説明し、合意する必要があるとされています(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)。
「低廉な空家等の媒介の特例」とは、どのような制度ですか?
価格の低い不動産の売買や交換を、不動産会社が仲介(媒介)するときに、通常の上限を超える報酬を受けられるようにした特例です。不動産会社が受け取れる報酬の額は、宅地建物取引業法第46条第1項で国土交通大臣の定めるところによるとされ、同条第2項で、その額を超えて受けてはならないとされています。この定めが、告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)です。
特例は、この告示の第七にあります。売買代金が800万円以下(消費税・地方消費税に相当する額を含まない)の宅地または建物を「低廉な空家等」とし、その売買・交換の媒介については、「当該媒介に要する費用を勘案して」、通常の計算方法による金額を超えて報酬を受けることができます。この場合でも、依頼者から受ける報酬の額は「三十万円の一・一倍に相当する金額」を超えてはなりません(国土交通省掲載の告示本文)。
通常の仲介手数料の上限は、どう決まっていますか?
売買代金(消費税等相当額を含まない額)を3つに区分し、それぞれに割合を掛けて合計した金額以内です。依頼者の一方につき、消費税等相当額を含めて、200万円以下の部分は5.5%、200万円を超え400万円以下の部分は4.4%、400万円を超える部分は3.3%とされています(告示第二)。
この表から計算すると、代金が100万円なら上限は5万5千円、800万円なら33万円です。400万円を超える取引では、代金×3.3%+6万6千円と同じ金額になります(表から計算した結果)。なお、この計算と特例の33万円は、消費税の課税事業者の場合です。免税事業者は、告示第十一の②で別に定められています。
800万円では、通常の上限と特例の上限がどちらも33万円で同じです。特例は、価格が800万円より低いほど、通常の上限との差が大きくなります。
特例は、いつから、どのような物件が対象ですか?
2024年(令和6年)7月1日から施行されています。告示の改正は、同年6月21日の国土交通省告示第949号です(告示本文の附則)。
対象は、売買代金が800万円以下の宅地または建物で、その使用の状態は問われません(国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」令和8年4月1日施行版)。名前に「空家等」とありますが、住んでいる家や、建物のない土地でも、価格が800万円以下であれば対象になりえます。
改正前後の主な違いは、国土交通省の新旧対照表で次のように確認できます。
対象の価格:400万円以下から、800万円以下に拡大しました。
報酬の上限:18万円の1.1倍(19.8万円)から、30万円の1.1倍(33万円)になりました。
受け取る相手:改正前は「空家等の売主又は交換を行う者である依頼者」に限られていましたが、現行の第七にはこの限定がありません。
対象となる取引:改正前は、通常の媒介と比べて現地調査等の費用を要するものが対象で、報酬は通常の計算額に現地調査等の費用相当額を加えた額以内とされていました。現行は、媒介に要する費用を勘案する形です。
売主・買主のどちらから受け取れますか?
どちらからも受け取れる可能性があります。第七は「依頼者から受ける報酬の額」の上限を定めていて、売主か買主かを限定していません。上限は依頼者ごとに適用され、複数の不動産会社が媒介に関わる場合は、依頼者の一方から受け取る報酬の合計が上限以内でなければなりません(国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第46条第1項関係)。
つまり、33万円は売主と買主を合わせた上限ではなく、報酬を支払う依頼者それぞれにかかる上限です。実際に誰からいくら受け取るかは、媒介契約の内容によります。通常の上限を超えて受け取るには、その依頼者への事前の説明と合意が必要です。
報酬を受け取る前に、どのような説明と合意が必要ですか?
国土交通省の「解釈・運用の考え方」は、通常の計算額を超えて報酬を受ける場合、媒介契約の締結に際してあらかじめ、特例に定める上限の範囲内で、報酬額について依頼者に説明し、合意する必要があることに特に留意するよう示しています(令和8年4月1日施行版)。
確認しておきたい点は次のとおりです。
33万円は上限であり、決まった金額ではありません。媒介に要する費用は人件費等を含み、取引の態様や難易度等に応じた費用の水準を考慮するものとされています。
案内料や申込料などの名目では、報酬を受け取れません。依頼者の依頼で行う広告の料金に相当する額は、別に受け取れます(告示第十一の①)。
依頼者の特別の依頼で行う遠隔地の現地調査などの実費は、その負担について事前の依頼者の承諾があれば、別に受け取ることを禁じる趣旨ではないとされています(同「考え方」)。
不動産会社は、事務所ごとに、公衆の見やすい場所に報酬の額を掲示する義務があります(宅地建物取引業法第46条第4項)。
なぜ、この特例が設けられたのですか?
空き家等の流通を進めるためです。国土交通省は、空き家等の流通促進が喫緊の課題である一方、宅建業者が空き家等を取り扱うにはビジネス上の課題があることから、報酬の上限を見直した、と説明しています(国土交通省の概要資料)。
この見直しは、2024年(令和6年)6月21日に国土交通省が策定した「不動産業による空き家対策推進プログラム」の一部です。同省は、空き家等を放置すると使用困難となり、周辺環境等に様々な悪影響を及ぼすことから、「使える」空き家等は、なるべく早く有効に利活用を図ることが効果的と考えられる、としています(国土交通省報道発表資料、2024年6月21日)。
何から始めればいいですか?
売却したい不動産の価格の見込みが、800万円以下に収まりそうかを把握する
不動産会社に、通常の上限と特例の上限のどちらで報酬を考えているかを尋ねる
媒介契約を結ぶ前に、報酬額の説明を受け、書面など形に残る形で確認する
広告料金や現地調査の実費など、報酬以外に負担する費用がないかを確認する
売却のほか、譲る、解体する、管理を続ける、といった選択肢も並べて比べる
売却後の税金の見通しは、税理士に相談する
解体した場合の固定資産税はこちらの記事、売却以外の手放し方として無償で譲る場合の税金と費用はこちらの記事で解説しています。株式会社HY(HY Consulting)は、現状の整理からご相談を承ります。お問い合わせはこちらからどうぞ。
よくあるご質問
Q. 売買代金が800万円を少しでも超えると、特例は使えませんか?
A. 特例の対象は、800万円以下です。超える場合は、通常の上限(告示第二)の範囲内となります。
Q. 33万円は、そのまま支払う金額ですか?
A. いいえ。33万円は上限です。実際の額は、媒介に要する費用を勘案し、あらかじめ依頼者に説明して合意した範囲で決まります。
Q. 建物のない土地だけでも、特例の対象ですか?
A. 対象になりえます。国土交通省の「解釈・運用の考え方」は、宅地または建物の代金が800万円以下であれば対象とし、使用の状態は問わないとしています。
Q. 株式会社HYへの相談は有料ですか?
A. 初回のご相談は無料です。現状の整理と方向性のご案内までを行い、実務が必要な場合は、事前にお見積りをご提示し、ご同意後に進めます。法律・税務・登記の個別のご判断は、各専門家へのご相談となります。
※本記事は一般的な情報提供です。実際の報酬額は媒介を依頼する不動産会社に、個別の判断は税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。制度は改正されることがあります。記載内容は2026年10月時点のものです。
監修(不動産実務の観点):株式会社HY(横浜駅前の相続・空き家・事故物件・終活の不動産相談窓口)
代表取締役 田澤 英大(宅地建物取引士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®/公認不動産コンサルティングマスター)
※法律・税務・登記の個別の判断は、監修の範囲に含みません。
宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第033168号
横浜市西区北幸1-11-5 相鉄KSビル9階
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